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卒業前夜、二

第八回講談社BOX新人賞結果

【Powers】『自殺者の森』 円山まどか
【Stones】『喪服探偵aiko.』 井上竜
【Stones】『Oの神様』 揚野蛙手
【Stones】『インモラルインテレクト』 高橋渉水
【Stones】『ハルチ』 あみるニウム

お~、“Powers”でたね~。
というか今回の“Powers”受賞者に、何だか覚えがある。
気にかかり考えていたら、BOX-AiR新人賞で私より票をとった人じゃないか。

ここを読んでもらえば解かるけど、受賞作選考に当たって、私とこの人の作品が一騎打ちになった。
結局は私が受賞したが、その作品が“Powers”で出てくるとは意外だった。

円山まどかさん、受賞おめでとうございます。m(_ _)m


昨日の続き。

Kの隣には、Yもいた。
YはKに促され、今までの鬱憤を吐露するように、こう言った。
「千石は私が被害妄想とか言ったそうですけどお、私は被害妄想とかしてませんー! 私だって、最後くらい楽しくしようと思っとったのに、千石のせいで――」

「被害妄想」というのは、Kが私を詰問したときに使った言葉。
Yに直接言ったわけでもなければ、KがYに伝えるとも思っていなかった。

「何で謝らなかった?」とKは言った。
――私は、再び謝ることはないと主張する。
しかしKは、
「けれどもYさんを傷つけたんでしょ?」と一言で跳ね除けた。

私は、八方塞りとなった。

Kは私の主張を理解しながら、絶対に謝らせるつもりだった。
その証拠に、
「二年前もそうだったのに、何でまたこんな事が起きたんだ!」と言われた。

そんな事を言われても、Yが勘違いしたからに決まってるじゃないか。
しかしそうは言えず、解からない、と私は答えた。

「ふざけるなあッ!」
Kはとうとうキレた。

私はもう、どう答えていいか解からなかった。
とりあえず、必死になって考えるふりをする。
「本当に解からないようだ」と悟ったKは、私に対しこう言う。

「それはなあ、お前の心に『このひと嫌いだなー』とか、『このひと嫌だなー』とか、そういった醜い心があるからだ! 何で謝らんのか、そっちのほうが意味解からんわあッ!」

私は泣きたくなると同時に、後悔した。

実をいうと、こういった変な事例は、前にも幾つかあったのだ。
――苛めをしたら、苛めた側が絶対的に悪いという。
私が通っていた小・中学校の教師は、平等主義に憑かれた人が多かったように感じる。

――例えば子供は、責任のとりかたを良く知らない。
最初は大人が代わりに責任をとり、徐々に子供に責任のとらせかたを学ばせる。
大人が責任をとってくれる子供の世界は、ある意味平等なユートピアだと思う。
誰が何をやっても他人が責任をとってくれるから、共産主義みたいに平等。

そんな教師のしていたことは、子供たちに徹底した「平等」だとか、「人権」「反戦」を教えることだった。
そうすればいずれ、平等・人権・反戦を刷り込まされた大人たちが社会に放ったれてゆく。
彼らが常々口にしていた言葉は、「差別をなくそう」「戦争のない世界」だ。
「赤ちゃんは差別をしないから、人間は元来差別をする生き物ではない」という教師までいた。

そういう人からしてみれば、全ての原因は、私の醜い心なのだ。
彼らが理想とする世界は、無条件で「被害者」が救済される世界なのだから。

私がショックを受けていると、Kは穏やかな口調でこう言う。
「まあ、今回の件は、どっちも悪くないんだからな。最後にお前、Yさんに何か言う事があるだろう?」
私はYに頭を下げ、ごめんなさい、と言った。

とにかく理解されないことが悲しかった。
そして私は、泣きながら家に帰っていった。


コメ返
シュウ
確実にそれはそうだと思う。
何のいわれもないのに苛められるというのも勿論あるけど、それだけじゃ理屈が通らないのは、掃いて捨てるほどある。
これもまた経験者の言うことだけどね。

そっか。
徹底抗戦しなかった私が、悔やまれるな。
けれど、本当に怖い先生でもあったしね。
はたして正論を吐いても、どこまで通じていたか――。


ヒプホさん
直接的ないじめにはなってないんですか?

私は性格がとても頑なで負けず嫌いだったんで、そういうのは全然意識してませんでしたね。
ただ、自分と「外」との戦いがありました。
この一件があって、一年半くらい人間不信に罹っていたので。
まあ、その暗闇から抜け出したいとあがいたんですよね。

そのYというのは、とにかく何かがあると先生に言いつける人だったんですよ。
私らは「先生攻撃」と言って揶揄していましたが。
自分の力で何かしようという気はなかったんでしょうね――。
高校は平等主義者が激減したと思うんで、彼女がどうなったかは知りませんが。


稲羽さん
人って、誰も完全じゃありませんからね。
だから人が作る社会は、必ずほころびが出てくるんですよ。
それが理不尽さとなって現われてるんでしょう。

何も、理不尽でできているとは言いませんが。
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No title

Powers出たんですねー。
自殺者の森、タイトルからして良い味出してます。

うわぁ……。
なんかもう唖然とするしかないですね。
どっちも悪いと言いつつサクラさんだけに謝らせるこの矛盾にK氏は気づいているんでしょうか。

No title

Powers出ましたか。これはまた楽しみですね。
AiRではアニメ化という指針があったからこそ受賞に一歩及ばなかったのかもしれませんが、やはり気になるのは文字媒体としての出来ですね。
どれほどのものなのか見定めたいです。

サクラさんが虐めに関与したという二年前の話で責められるならまだしも、今回の件はサクラさんに非はないですよね。
それなのにKはサクラさんが悪いと言い、かと思えばどちらも悪くないと掌を返したり、あまつさえサクラさんだけに謝らせるなんて。
Kの言った「お前の心に~」のくだりは、きっと教師としては間違っていないのでしょう。
けれど己の主観に頼り切って問題を見つめ、都合のいい解釈をつける。そしてそれ以外の解釈は徹底的につま弾きにする。
それこそ差別であり、不平等であり、反戦どころか理解することを放棄しているように思います。

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No title

直接的な>
随分と卑怯な人種でしてね、一度たりとも面と向かって暴言吐かれたり、無条件の暴力の的にされたことが無いんですよ。
代わりに、日常の話題が自分らが低ランクに格付けした人間を嘲笑する話ばっかりで、ことあるごとに下種な視線を送ってくるんです。
状況証拠しか残らないわけですから、最悪先生に言ったとして、向こうが共謀して「そんなこと言ってない」「そんなつもりで言ったんじゃない」とでも言えば泥沼。
人数が相手の方が多い以上、どうあがいても私の言い分が通らないってわけです。
直接罵倒されたり何か言われるのは楽なもんですが、野良猫が知らぬ間に自宅周辺にウ○コしてるくらい緩やかな嫌がらせも相当ですよ。
のれんに腕押し、糠に釘って感じ。

KとY>
面倒事を喧嘩両成敗の法則でなぁなぁに済ませる先生は大量にいたんですが、やっぱいるんですねぇ。
フェミニストって感じの先生とも違う…。
「青い鳥」っていう映画だったか、苛めの本質に対して「嫌ったりすること自体が問題じゃなくて、相手の『本気』を踏みにじることに問題がある」って感じの言葉がありました。
この場合、Kはサクラさんの心情に対して『本気』では対応しないで、頭ごなしに押しつぶして踏みにじってるから何も解決していんでしょうね…(Yに対しても甘やかしてるだけだから『本気』では無いとも言える

チクリ魔な奴はどう転んでも人の信用が得られないので、多分Yは遅かれ早かれ「ぼっち」になったんじゃないですかねぇ…
蝙蝠のような都合のいい生き方を徹底できる位狡猾な人間は、そもそも苛められても先生に頼って報復しないですから、Yは小悪党らしい惨めな生活送ってるはずです。
っていうかそうでないと私の中の『正義』が許さん。

No title

何だかとりあえず弱者に見える方に肩入れしているように思いますね。
双方の話を聞くべき所だと思うのですが。
酷い教師もいるものですね…
プロフィール

千石サクラ

Author:千石サクラ
◆1993年3月30日生。B型。
鳥取県出身、京都市在住。
高校在学中、講談社にて新人賞を三つ受賞する。電子書籍『BOX-AiR』に処女作が掲載され、作家となる。
◆高校を卒業後、上洛する。

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